CDPとは?評価基準や評価範囲、CDP2022の変更点

2022/3/30

下記の記事で、CDPの概要やメリットについて解説をさせていただきました。

>CDPとは?活動内容の詳細、企業が参加する意義とは

本記事では、CDPへの回答を検討している企業の皆さまに向けて、スコアリング方法や2022年に行われる変更等について紹介をさせていただきます。

CDPのスコアリング方法と対象範囲

CDPは質問書の回答結果をもとに、スコアリングを実施します。
スコアラーの判断によって、もしくは機械的に質問を評価した後、得点をパーセンテージ化し、以下のようにスコア算出していきます。

レベル 気候変動 ウォーター フォレスト 最終スコア
情報開示 0~44% 0~44% 0~44% D-
45~79% 45~79% 45~79% D
認識 0~44% 0~44% 0~44% C-
45~79% 45~79% 45~79% C
マネジメント 0~44% 0~44% 0~44% B-
45~79% 45~79% 45~79% B
リーダーシップ 0~79% 0~79% 0~79% A-
80~100% 80~100% 80~100% A

引用:CDP「スコアリングイントロダクション 2019」
https://cdp-jp.net/common/cms_editor/uploads/files/Scoring%20Introduction%202019_JP.pdf

情報開示・認識・マネジメント・リーダーシップという4つの対応レベルに分けられ、全レベルに渡って評価が行われます。合計点に基づいて、Aを最高評価、D-を最低評価としてA、A-、B、B-、C、C-、D、D-の8段階で評価・ランク分けされ、無回答の場合はFとなります。

サプライチェーンによる温室効果ガス排出も評価対象

CDPの質問書が送付されるのは、主要国の時価総額上位の大手企業です。日本の場合、FTSEジャパンインデックス 該当企業をもとに選定した時価総額上位の大手企業500社(ジャパン500)となっています。
※FTSEは株価指数の算出や金融データの提供等を行う英国の企業。FTSEジャパンインデックスは、FTSEが選定した日本の大手企業で構成されています。

調査対象の大手企業が回答する「気候変動」・「水セキュリティ(ウォーター)」・「フォレスト」の3レポートでは、サプライチェーンに関する回答が求められており、大手企業は取引先の中小企業等も含めた環境への取り組みを期待されていると言えます。
なかでも「気候変動」の質問書では、サプライチェーンの温室効果ガス排出に関する質問が複数設定されています。そのため、大手企業500社のうち9割程度の企業は、「GHGプロトコル」に基づくプログラムを使用し回答を行っています。
参考:GHG protocol HP(https://ghgprotocol.org/about-us

GHGプロトコルとは、温室効果ガス(GHG)排出量の算定と報告の国際的なフレームワーク(基準)で、一企業で排出された温室効果ガス排出量だけではなく、サプライチェーンも含めた排出量を重視しています。

このGHGプロトコルでは、サプライチェーンを含めた全体での温室効果ガス排出を計測するために、「Scope」という考え方を採っています。Scopeとは、温室効果ガスの排出量算定の対象範囲を指します。

Scope1 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

引用:環境省「サプライチェーン排出量算定をはじめる方へ」(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/supply_chain.html)

上記のうち、「Scope3」にサプライチェーンの取引先企業による温室効果ガス排出が含まれます。
CDP質問書にはScope3に言及した質問があり、大手企業はサプライチェーンの取引先企業を含めた温室効果ガス排出削減を求められているといえます。

また、CDPの「サプライチェーンプログラム」ではそもそも質問書がCDPからサプライチェーン企業に直接送付される仕組みになっており、中小企業や非上場企業もCDPの評価の対象となりえます。

>「サプライチェーンプログラム」詳細はこちら

以上のことから、CDPの活動に関心を持ち環境に配慮した取り組みをすることは、サプライチェーンの企業にとっても事業継続のために非常に重要になっていることがわかります。

CDPは、社会情勢に応じて質問項目や評価基準が変化していく

CDPは質問書の内容や評価基準を毎年見直しています。

たとえば2018年、CDPの質問書は市場ニーズ等に応えるべく、セクター別設問の統合やTCFD提言 ※1 に準じた設問への再構成などの大きな変更が行われました。 また、2021年の気候変動レポートでは、SBT ※2 に沿った目標設定の質問が追加されたり、コロナ禍の事業への影響を記載できるようガイダンスが修正されたりしています。

このように毎年様々な修正が加えられるため、前年によい評価を得られたとしても同じ回答で翌年もよい評価になるとは限りません。その年にCDPが発信するガイダンスによく目を通し、質問書のアップデートに対応していく必要があります。

※1 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):G20の要請を受け、気候関連の情報開示及び金融機関の対応を検討することを目的に設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース」。TCFDが2017年に公表した報告書をTCFD提言と呼ぶ。
参考:TCFDコンソーシアムHP(https://tcfd-consortium.jp/about

※2 SBT(Science Based Targets):「パリ協定(世界の気温上昇を産業⾰命前より2℃を⼗分に下回る⽔準(Well Below2℃:WB2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを⽬指すもの)が求める⽔準と整合した、5年〜15年先を⽬標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減⽬標のこと」(環境省HPより)。
引用:環境省HP(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/intr_trends.html

CDPのプログラムに対する企業の反応

ここまで、CDPの活動内容を詳しくご説明してきました。では、CDPの質問書に対し、企業はどのような反応をしているのでしょうか。

CDPレポート回答状況

日本企業における2018年度~2021年度の「CDP 気候変動レポート」への回答状況は以下の通りです。

  ジャパン500の回答社数 ジャパン500の回答率
2018年度 297社 59%
2019年度 306社 63%
2020年度 327社 65%
2021年度 354社 71%

引用:CDP 気候変動 レポート 2021:日本版
https://cdn.cdp.net/cdp-production/comfy/cms/files/files/000/005/481/original/2021_CC_Japan_report_JP_digest_v2.pdf

2020年度のジャパン500選定企業のうち、回答企業数は327社(回答率65%)で、これは世界各地域と比較 しても高い回答率となっています。
※ヨーロッパ:49%、北アメリカ:54%、アジア:34%

日本企業の回答率が年々上がっていることから、大手企業においてCDPへの関心が高まっていることがわかります。 前述の通り、CDPの質問書の中にはサプライチェーンの取り組みも含まれているため、大手企業だけではなくサプライチェーンとなる中小企業等もCDPに注目していく必要があります。

CDP2022からの変更

CDP2022からは、これまでの「気候変動」・「水セキュリティ」・「フォレスト」に、新たな環境テーマとして「生物多様性」が追加され、それら4テーマの統合質問書が送付されます。

生物多様性は、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD )の提言に足並みを揃えると言われており、回答する企業にはその内容を確認することが推奨されています。

※TNFDとは、企業などに対し生物多様性と自然資本の視点から事業機会とリスクの情報開示を求める国際イニシアチブで、世界の資金の流れを自然環境に対してポジティブなものにすることを目的としています。

また、企業の脱炭素化に向けた取り組みを追跡して評価するため、CO2排出削減計画の水準や進捗をはかる具体的な質問が追加されています。ほかにも、RE100参加企業だけに向けられた追加の質問が用意されるなど、脱炭素化に関する質問事項はCDPが戦略的に優先順位をつけ再設定しています。

さらに、2022年からは質問書が送付される対象企業も拡大します。 先述の通り従来はFTSEジャパンインデックスをもとにした大企業500社が対象でしたが、2022年からは東証プライム市場の全上場企業を中心とした1,900社以上が対象となります。

CDPへの回答は、持続可能な社会の実現へとつながる

企業の規模にかかわらず、これからはあらゆる企業が持続的に事業を推進していくためにCDPの活動は注目すべき取り組みです。

これまで説明したように、投資家にとっての判断基準としてCDPの評価が重要となっています。投資家、そして社会全体からの信頼を得るために、今後ますます多くの企業が環境への取り組みに注力していくでしょう。

CDPへの回答を検討されている企業の皆さまへ。
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